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SST(売上・サービス税)の対象拡大――2025年7月1日施行:日系投資家が知っておくべきこと

マレーシアでは、202571日より売上・サービス税(SST)の課税対象範囲が拡大され、建設業も新たに対象に加わりました。本改正内容は、プロジェクト費用、契約条件、資金計画に影響を及ぼします。

円滑な事業運営のためには、SSTの適用範囲と実務上の影響を把握しておくことが重要です。

 

SSTの概要

SSTはマレーシア税関当局(Royal Malaysian Customs Department)が管轄する間接税で、特定の物品の売上およびサービスに課税されます。

制度上は仕入税額控除がないなど仕組みが異なりますが、最終消費に対して課税される点では類似しており、実務上は「日本の消費税に近い税金」と言えます。

そのため、投資案件の費用見積りやキャッシュフローにおいて、SSTは重要な要素となります。

 

202571日からの対象拡大

 同日からサービス税の対象が拡大され、以下を含む分野が新たに課税対象に加わりました。

  • 賃貸・リースサービス
  • 建設サービス
  • 教育サービス
  • 金融サービス
  • 医療サービス
  • その他一部の選定されたサービス

この拡大により課税ベースが広がり、主要セクターから安定的に税収を確保する狙いがあるとされています。

 

建設サービスに対するSSTの適用範囲と除外

課税対象となる建設サービス

  • 工場、事務所ビル、産業施設、商業施設の新築や改修などの商業用建設プロジェクト
  • 元請業者・下請業者および関連する建設サービス提供者が行う施工サービス

課税除外(非課税対象)

  • 住宅用不動産(住宅物件)は引き続きSSTの対象外です

 

建設サービスの税率

建設サービスに対する標準のSST税率は6%で、提供されたサービスの課税対象価額に対して適用されます。

 

投資家への影響(実務的ポイント)

改正により、国内企業・日系投資家いずれにも共通して次の影響が想定されます。

  1. プロジェクト費用への影響:建設費見積りや総合予算にSST6%)を反映する必要があります。
  2. 契約条件の検討:契約書内でSSTの負担区分(発注者負担か、請負金額に含めるか、別建てとするかなど)を明確化することが求められます。

実務上の留意点:大規模プロジェクトではSSTが避けられないコスト要因となります。計画段階から税負担を織り込んだ設計・予算策定を行うことが重要です。

 

小規模請負業者の免除措置について

SSTには一定の基準以下の小規模請負業者に対する免除措置があります。ただし、大規模な投資プロジェクトでは、通常、小規模事業者は技術力や財務力が不足するため採用が現実的ではありません。万が一、小規模業者が大規模案件を受注した場合でも、課税事業者に該当する可能性が高い点に注意が必要です。

 

まとめ

202571日施行のSST課税対象範囲の拡大により、建設サービスが課税対象に加わりました。これに伴い、プロジェクト費用、契約書の内容、資金計画に一定の影響が発生します。日系企業の投資案件においては、SSTの適用範囲・税率・実務上の影響を事前に確認し、契約や予算に反映させることで、想定外のコスト発生を防ぎ、プロジェクトを円滑に進める準備を整えることが大切です。